今から旬を迎える「岩牡蛎」を、ちょっと早いが仕入れてみました。
・・・やっぱりちょっと早かった。身の肥り加減がイマイチ。
まだハシリなんで高いですが、もう少しして身が肥って市場に沢山出回りだすと金額も落ち着いて、なおかつ美味しくなります。
っていう話で思い出した。
たまーにですが、
「やっぱり高い素材は旨いし、安い素材はたいして旨くねえ。」
と言われる板前さんがおられます。
・・・なんで?違うじゃろ?かなり考えが浅はかとしか言い様がない。
素材の金額というのは、例え全く同じ素材でも色々な要素が絡んで天と地程の差が出ます。
この岩牡蛎でもそうですが、
今は「たいして旨くねえ」ですが、供給量がまだ少ないので、値が張ります。
これが、もう少しして供給量が増えてくる頃には、身も肥えて今より全然旨くなってます。しかも、単価は間違いなく下がる。
こういう事は、全ての素材に対して言える事です。
他にも、
今、野菜が相対的に高いですが、旨いですか?・・・んな訳ない。逆に日照不足と低気温の影響でかえって不味い。
更に、
まあ、判りやすいところで天然鯛でいこーか?
前日が好凪で、今日、天然鯛が大量に市場に揚がったのはいいが、
その前の日も大量に揚がっていたので、鯛がダブついて、
5kgの天然鯛が、市場で1枚5000円で買えた。
ところが、
3日後にまた市場に行くと、
その前の日が大時化で、天然鯛が数える程しかいない。
金額をあたったら、3日前に買ったのと状態が全く同じ天然鯛が20000円だった。
・・・よくある事です。
更に更に、
同じ天然鯛でも、
漁師から直接買うのと、
市場、中卸し、鮮魚店を挟んで買うのとでは、金額にして、倍近くの差が出ます。
更に更に更に、
同じ天然鯛でも、
「片身ちょうだい!」と、「10枚ちょうだい!」でも、天と地の差。当たり前ですが。
もひとつオマケ。
今から旬を迎える関鯵、今年の旬を終えた関鯖もそうです。
大分県佐賀関に揚がる鯵鯖で、規格に合った物が関鯵関鯖として市場に出回りますが、
おむかいの、愛媛県に揚がる岬鯵(はなあじ)は、漁場は全く同じの上に規格もほぼ同じ。にも拘らず、単価は関鯵の3分の2位です。
名前が売れているか売れていないか、只それだけで市場での評価が変わります。・・・てんちょは欲しい時は釣りに行くんで、市場で1本に3000円も4000円も出して買いませんが。アホらしい・・・
・・・どんな素材でも同じです。書けば止めど無く出て来る。
「高けりゃ旨い。安けりゃ不味い。」これは大きな大間違い。
こんな事をのたまう板前がいる店に行っても、ろくな事になりません。仕入れ値なんかナーンにも考えずに仕入れた食材に単純に3倍掛けして売る店が儲けて、安く食える料理に高い金を出して食う客が損するだけ。
因みに、
前にも書いた様な気がしますが、
だいたい飲食店では、原価率を35%程度に設定してます。
先程話した、天然鯛。
5kgで刺身を30人前取ったとすると、
1枚5000円で仕入れれば、売価は約500円。
ところが、
1枚20000円で仕入れれば、売価は約2000円!
同じ物なのに・・・その差1500円也!
皆さん(てんちょも含めて)、毎日コツコツ働いて得たお金です。お金は有効に使いましょう。
by海将てんちょ