「わたりがに」。佐賀の方では地名に因んで「竹崎蟹」、この辺りでは、満月前後に産卵するので「月待ち蟹」という名前をつけて、最近一生懸命売り出そうとしています。
小野田のあさりみたいに乱獲して居なくならんか心配です。
あさりを捕っていた潜水夫の人達は、ナルトビエイのせいにしていますが、私一個人としては、原因はそれだけでは無いと思っています。
・・・それはさておき、
このわたり蟹、
とにかく旨い!
タラバガニ、ズワイガニ(松葉ガニ)、毛ガニ、イシガニ、花咲ガニ、果ては輸入物の上海蟹、アサヒガニ、ダンジネスクラブ等々、(因みに、タラバガニは厳密に言えば、蟹では無く、ヤドカリの一種です。)
20年前には想像もつかなかった「活かし物」が、今は極々当たり前の様に、注文をかけると2〜3日で入荷されて来ます。
凄い世の中になったもんです。
鮪もそうです。
インドマグロ(今はミナミマグロの方が名前が通っちょる。)って有りますが、
今でこそ、クロマグロと肩を並べる程の高級食材になってますけど、
15年位前迄は、クソみたいな扱いでした。
ナーンでか?
インドマグロはその名の通り、インド洋近辺で捕れる魚ですが、
捕ってから、日本に持って帰る迄およそ6ヵ月。
当時の冷凍技術が貧相だった為、いざ解凍してみたら、
真っ黒。
これじゃあ銭になりません。
しかし、
その後、急速冷凍の技術が格段に進歩して、
しっかり鮮度を保持したまま日本に持って帰る事が出来る様になりました。
それで現在に至っている訳です。
因みに、今はまだ実験段階ですが、最新の「瞬間冷凍システム」を積んだ船がインド洋で操業しています。
これが又凄い!
解凍しても、活マグロと同等の鮮度ナンだそうです。
一体どこまで科学は進歩するんでしょう?
・・・いかん。
・・・話がそれた。
話を蟹に戻します。
その蟹達の中でも、特別に旨いのが、
甲羅の端がオレンジ色に染まった、雌の子持ちのわたり蟹!
身だけだったら、雄の方がしっかりしていて旨いんですが・・・
あの蒸し雲丹の様な内子とズワイガニに勝るとも劣らない蟹味噌、そして、毛ガニよりも更に濃厚な蟹身を一緒くたにして口に運ぶと、えもいわれぬ幸福が訪れます。
誰が何と言おうと、
わたり蟹は、蟹の大様。まさに「キング オブ クラブ」です!
んが、しかーし!(今日もココからいつもの愚痴が始まります。予めご了承下さい。)
このわたり蟹、(わたり蟹に限らず何にでも言える事ですが、)
美味しく食べようと思えば、それなりの調理をしなければ、当然美味しく食べる事は出来ません。
料理に関しては、何にでも言える事ですが、
調味料の分量が大事なのは当然ですが、
それより何より、火加減やさじ加減が大切です。
もっと大事なのが、
作る人の、食べる人に対する気持ちです。
昔の人(お婆ちゃん達)が作る料理が美味しいのは、ここに原点が有る様に思います。
調味料なんか、適当にパッパッパッパッと入れてますが、火加減、さじ加減が絶妙だから、旨い。
・・・まーた話がそれた。
蟹の話に戻ります。
まず、蟹を調理する時は、必ず!絶対!間違いなく!蟹が活きていないとイケません!
スーパーでパック詰めされた蟹を買って帰って、そのまま冷蔵庫になおし、夕方になって茹でる。
最悪です。
蟹は、活きた奴を氷水に落とし、
仮死状態になったら(3分位)間髪を入れず塩と薄口醤油少々を入れた熱湯にぶち込みます。
仮死状態にさせておくと、足がもげずに綺麗に茹で上がります。
熱湯にぶち込んでから約15分(子持ちの場合)茹でたら、すぐにおか上げして、さっき使った氷水に約1分漬けて荒熱を取ります。
それから、すぐに水をきって腹を上にして、ソッコーで冷蔵庫に入れて約1時間程冷やします。
茹でたての温かい状態の方が旨いと思ったら大間違い!
内子と蟹味噌が固まる程度まで冷やしましょう。
この方が絶対に旨い!(冷やし過ぎは×!)
食べる迄、時間がある時は、そのまま冷蔵庫に入れておかずに、常温で保管しておいて下さい。(何度も言いますが冷やし過ぎは×!)
その日の内に食べ切れなければ、冷蔵庫で保存するしか有りませんが・・・やはり味が落ちます。
温かいのが食べたければ、一度冷やした蟹をオーブン等でほんのりと温まる程度まで焼いてから食べる様にしましょう。
これで美味しいわたり蟹を食べる事が出来ます。
梶の漁港とかに朝行けば活き蟹を購入することが出来るので、是非一度お試しアーレー。
この辺りの人は、わたり蟹を小さい頃から食べ慣れておられるんで、日頃から余り気にした事が無いでしょうが、
他の蟹と一緒に食卓に並べて、食べ比べてみると、
改めてわたり蟹の美味しさに気づかされる事と思いますよ!
by海将てんちょ
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