とろろ蒸し(とろろむし)

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コース料理の1品で、かぶら蒸しを出そうと思って、食材をひと揃えしてたんですが、

営業時間に入ってから気が付いた。・・・肝心要のカブを買うのを忘れちょった。さすが、すっとぼけてんちょ。

さて、どうしよう・・・

お客さんもどんどん来てるし、どっからどー見ても手隙な人間はいない。今更買いに出られる状況では無い。

メニューを変更するという手もあるが、カブ以外の材料は全て段取り済み。棄てるのは勿体ない。

という事で、

カブのすりおろしの代わりに、山芋のすりおろしで作ってみた。かぶら蒸しならぬ、とろろ蒸し。

まず、卵白を泡立てた物に、おろした山芋をザックリと混ぜておきます。

湯引いたレンコ鯛、安平麩、ムキ海老、はなっこりー、筍、蓴菜、若布を綺麗に並べた蒸椀に吸い地を張って蒸します。んー、春っぽい。

7分通り位まで蒸したら、お椀に入っている吸い地を別鍋に取って、先程のとろろを、

何故か、せっかく綺麗に並べた材料の上に万遍なくのせて、中身が全く見えない状態にして再び蒸します。真っ白。

とろろを指先で触って、指に付いて来なくなったら蒸し上がり。

別鍋に取っておいた吸い地を餡にして、とろろの上にかけ、卵黄のそぼろとイクラの醤油漬けを天に飾って出来上がり。

・・・これが大正解。

不味かったら、仕方が無いから賄いにマワしてお客さんには違う料理を出そうと思って、頭の中では違う料理の事を考えていたんですが、

余分にひとつ作っていたのを食べてみたら、

変わった感じで、かなり旨かった。かぶら蒸しもいいけど、とろろ蒸しも同じ位良かった。

お客さんも、美味しいって言いながら食べられていたので一安心。

そのお客さんが一緒に連れて来られていた小さいお子さんが(チョーおりこうさんじゃった。)、

よその店で山芋鉄板みたいなのを食べたら、それが旨くなかったらしく、それ以来山芋を余り食べなくなったらしいのですが、

今日のとろろ蒸しの山芋は全部食べたそうです。

これで山芋が好きになったかな?

まあ、取り敢えず、今日は「不幸中の幸い」「災い転じて福と成す」という言葉がぴったりでした。

次から忘れ物の無い様に気をつけよ!(いつも気をつけてるつもりなんですけど・・・)

by海将てんちょ

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